すでに述べたように、ニュートンは、宇宙の誕生において「神の一撃」を仮定した。
このことは彼が、創造主たる神を心の中に持っていたことを示唆している。
アインシュタインにしても同じである。
宇宙が無目的で、ただ単に偶然に作られたのではないとする考えは、無神論者の彼にもあったようである。
現に、彼は「神はサイコロを振らない」のだと言っている。
宇宙の誕生と進化は、ちゃんとした設計図に沿って行なわれたことなのだ、というアイデアが彼の根底にもあったことの証明だろう。
ケンブリッジ大学のスティーブン・ホーキングも、現在、私たちが見ている宇宙は、“神”のような、
何らかの手によって作られた設計図(デザインといってもいい)にしたがって作り出されたのだという趣旨のことを言っている。
物理学に“神”とか“創造主”という言葉を持ち込むのは、きわめて危険なことであるのは言うまでもない。
しかし、現実の物理学の歴史を見ていくと、今や私たちは「創造主」の領域に迫りつつあるというのも、事実であろう。
この宇宙を理解していこうとする人間の努力は、宇宙創成の瞬間をも解き明かそうとしている。
また、一方では生命進化の秘密も、徐々に明らかになりつつある。
三六億年前に地球上に誕生した生命は、今や“神のみわざ”を理解しようというところにまで来ているのである。
桜井邦朋(理学博士/元NASA研究員)著『宇宙には意志がある』より
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