原発事故:福島の現状報告…「美味しんぼ」登場の荒木田氏
http://mainichi.jp/select/news/20140530k0000m0400... 鼻血と被ばくに関する表現が話題を呼んでいる漫画誌の連載「美味(おい)しんぼ」にも実名で登場した、福島大の荒木田岳(たける)・准教授(44)=行政学=が28日、
金沢市内で講演し、東京電力福島第1原発事故から3年余りが過ぎた福島の現状について報告した。
荒木田氏は、原発事故による住民への影響を明確に説明しない国や福島県の姿勢を批判、「人々が被ばくし続けている現状を人権問題としてとらえ、改善しないといけない」と訴えた。
荒木田氏は金沢市出身。原発事故後、妻子は新潟市で自主避難を続け、自らは単身福島市で暮らしている。
講演で荒木田氏は、事故前後に放射性物質や被ばくについての基準が大きく変わったことを疑問視し、「事故後にルールを変えるのは禁じ手だ。
事故前の基準に照らし、現状で本当に安全なのかを考えるべきだ」と訴えた。その上で「『国が大丈夫と言っているから大丈夫』と安心するのではなく、避けられる被ばくは避けるべきだ」との考えを示した。
被ばくに対する福島の県民世論については「住民も本当は不安で仕方ないが、『風評被害を招く』として、国に対する懐疑論は表に出てこない。復興ムードが多様な考えを抑圧している」と指摘。
「言えない苦しさを推し量って、被災者や自主避難者を支援してほしい」と呼び掛けた。
荒木田氏は今月12日発売号「週刊ビッグコミックスピリッツ」の「美味しんぼ」で、原発事故が福島に与えた影響の深刻さを訴える専門家の一人として実名で取り上げられた。
講演は市民団体「人権フォーラム石川」が定期総会に合わせて開催し、聴衆約50人が訪れた。
「美味しんぼ」を巡っては、先月28日発売号で福島第1原発を訪れた主人公らが鼻血を流す描写が議論を呼んだ。
作中では福島県双葉町の井戸川克隆・前町長らが登場し、「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」との発言が紹介された。
政府や福島県が「被ばくと鼻血は関係があるとは考えられない」「風評被害を助長する」などと批判する一方、識者や住民らには「原発事故に関する情報をきちんと伝えない政府に対する不信感が背景にある」などと理解を示す見方もある。
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