昔 付き合ってる彼女がいた。俺も彼女もお互いに一人暮らし。週末に会うだけだった。
付き合いも長かったし、彼女は結婚を口に出し始めて自分はなんとなくその状況にうんざりしてた頃。
そして彼女の父親がずっと寝たきりでいつ亡くなってもおかしくない状態だった。
ある夏の晩、俺は仕事終えて帰ってきて一人で部屋で転がって本を読んでた。
時間は夜11時半くらい。そろそろ寝るかなと思っていたところ、マンションの通路で足音が聞こえる。
当時俺のマンションはエアコンも壊れていて窓は開けっぱなしだったから外の音がよくきこえた。
足音はゆっくりと少しずつ俺の部屋に近づいてきて、俺の部屋の前で止まった。
「ん?こんな時間にだれだろう?」と思って(俺の部屋は一番角部屋。つまり通路のつきあたり)耳をすましていたが
ドアフォンもならなければノックもない。
おかしいなと思って、ドアを開けたところ通路には誰もいない。
ドアを閉めて、窓を閉めようとしたところ部屋の電話がいきなり鳴った。
出ると彼女。泣いている。「・・・ねえ、今、お父さん亡くなった」
返信する